kochorinの独り言

サラリーマンをリタイアすることに決めました。退職までの経過と、働くということに関して自分が考えたことなどをつぶやきます。

年次有給休暇

エクスペディアの調査によると、日本の有給休暇の取得率は世界30カ国の中でワースト1位で50%。ちなみに2年連続のワースト記録だそうです。

取得率が低い順番に見ていくと、日本に次いで低いのが韓国の67%、インド75%、イタリア75%の順。ちなみに高い方から見ていくと、ブラジル、スペイン、フランス、オーストリア、香港が100%でトップ。ちなみにアメリカは80%です。


有給休暇の取得に「罪悪感を感じる」と答えた人の比率も、日本が63%でトップ。次いで韓国の61%ですが、3位のシンガポールは35%ですので、日本と韓国のトップ2強が他を圧倒的に引き離していることが分かります。

この調査を見ると、日本と韓国の有給休暇取得率が際立って低く、更にこの両国では有給休暇の取得に罪悪感を感じていることが分かります。


これはわたしの肌感覚とも合致しており、納得できるデータです。わたしの会社でも年次有給休暇を申請する時に「すみませんが・・・」という枕詞と共に申し訳なさそうに申請してくる人が大半であり、堂々と「休みます!」と言ってくる人はほとんどいません。つまり本音では休みたいと思っていながら、罪悪感からなかなか言い出せずに不満ばかり溜まっているという構図が浮かび上がってきます。

この原因をわたしなりに考察すると、日本人が過度に他者の評価を気にする国民であるから、という結論に達します。

歴史的に農耕民族である日本人は「ムラ」を作って集落で共同生活をしており、「ムラ」では他者と協調してやっていくことが村の一員として認めてもらえる絶対条件でした。「村八分」にされたら生きていくことができなかったので、「ムラ」で上手くやっていくことは死活問題です。

そこで、「ムラ社会」から弾き飛ばされないように「ムラ」の掟は絶対遵守!しなければならなかったのです。また、他者に密告されては大変ですから他者のご機嫌を伺い、評価を上げておかなければなりません。


この「ムラ社会」の文化的背景が日本の会社組織にもそのまま引き継がれています。「会社の掟」は絶対遵守ですし、その価値観に沿わない者は組織から「村八分」にされ、弾き飛ばされてしまいますので死活問題です。有給休暇の取得は会社にとって「悪」とみなされていますから、そんなものを取得する輩はけしからん、という空気が暗黙のうちに社内に醸成されているのです。ですので、有給休暇を取得するためには「ムラ」でも認められるもっともらしい理由(「自分や家族の病気」「親族の不幸」「結婚式への参加」など)がなければならず、ただ「遊びたいから」「権利だから」という理由での取得は許されないのです。


こうして考えてみると、日本の有給休暇の取得率を上げることは簡単です。有給休暇を取得することは会社(ムラ)にとって「悪」ではなく、「善」であるという価値観に転換させればよいのです。具体的には余って消化できなかった有給休暇は会社が買い取ることを義務化します。これで問題は解決します。

これまでは有給休暇の取得率を上げることは会社にとって何のメリットもありませんでしたが、買い取りが義務化になると景色は一変します。

現在20日ある有給休暇のうち、未取得50%分の10日分を会社が買い取らなければならなくなりますから、そのコスト負担はトータルでは膨大なものになります。上場企業の平均時給がおよそ2,600円ですのでそれで計算すると、買い取り費用は10日で20万8千円/人。従業員1000人規模では2億800万円、従業員10,000人規模では20億8,000万円のコスト負担増です。

こうなると、会社は何としても従業員に有給休暇を取得させようとします。有給休暇を取得しない人は「ムラ」の業績を悪化させ、「ムラ」にとって「悪」ということになりますから、「ムラ」の住人はこぞって年次有給休暇を取得するようになります。


先般、働き方改革関連法案が国会で可決され、2019年度より年次有給休暇の5日取得が義務化されることになりましたが、そんな対策より有給休暇の買い取りを義務化する法案を通すほうがより効果的だとわたしは断言します。

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