kochorinの独り言

サラリーマンをリタイアすることに決めました。退職までの経過と、働くということに関して自分が考えたことなどをつぶやきます。

サービス残業

headlines.yahoo.co.jp

2017年度に労働基準監督署の指導によって支払われた未払いの残業代が前年の3.5倍に増加したことが明らかとなりました。金額の大半は特定事業者によるものですので、実態はもっと深刻である可能性も高いでしょう。

厚生労働省によると、全国の労働基準監督署が是正の指導を行った企業は1870社で、その結果、支払われた未払いの残業代は446億円となりました。前年度は1349社で金額は127億円でしたから、会社数、金額とも大幅に増加しています。


労働基準監督署の指導により、サービス残業による未払い賃金の支払い額が年々増加しているようです。

ただし、あくまでもこれは監督署から指摘されて是正した金額ですので、サービス残業全体のうちほんの氷山の一角にすぎません。
記事内にも記載されていますが、実態はもっと深刻であることが明らかです。

労働組合連合会の調査によると、全体の42.6パーセントの人がサービス残業を行なっていると回答、日経BP社の調査でも6割以上の人がサービス残業を行なっていると回答しています。


わたしも今でこそ管理職の月報者で残業はつかない立場ですが、遡ること二十数年前、新入社員時代に当時の上司に言われた言葉を今でも覚えています。
曰く、
「お前らは給料を貰って勉強させてもらっている立場。自主的に残って勉強するのは構わないが、残業代なんて以ての外だ」

もちろん残っている理由は勉強したいからなどではなく、単に業務量が多すぎて仕事が終わらないからですが、そんなことはお構いなし。
当時は月に100時間くらい残業するのが当たり前でしたが、もちろん残業手当がついたことはありませんでしたね。

ある時、後輩の女性社員が自己都合退職することになり、「後は野となれ山となれ」と言って、退職する最終月に100時間もの残業をつけた結果、部長と同じくらいの給料額になったことがありました。
こいつ度胸あるなぁと思った反面、わたしも残業がつけられたら部長クラスの給料になっているのかぁ、と羨ましく思った記憶があります。

流石にうちの会社も今でこそ改善されていますが、中小企業などはまだこのような感覚で残業を捉えている会社も多いのではないかと思います。


ちなみに、サービス残業は当然ながら違法です。労働基準法第32条または37条違反で、6カ月以下の懲役または30万以下の罰金となります。
ただし、罰則を受けるのは繰り返し指導しても従わない悪質な企業のみなので、現実的にはほとんど罰則を受ける企業はありません。



ところで、これだけ法律違反をしている会社が多いのが現実なのに、何故、労働基準監督署は全ての会社に是正させるよう指導をしないのでしょうか?


その理由は、監督署に勤める監督官の絶対的な人員不足。これにつきます。全国の事業所は400万箇所以上ありますが、監督官の数はわずか4,000人弱。一つの事業所を臨検するのでもかなりの時間と労力がかかるため、結局、監督できるのは毎年、全体の3パーセントにすぎません。

これでは影響の大きい大企業への臨検が精一杯で、中小企業にはとても手が回りません。

対策としては、人員の増強にも限りがありますので、AIを導入するなどして、革新的な臨検プロセスの効率化と指導体制の見直しが不可欠と思います。

まあ、理想論としてはサービス残業などさせない良識ある経営者が増えればいいんでしょうが、それこそ無い物ねだりですよね。

日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? (星海社新書)


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